ポイント
7月6日、英検協会から2024年度からの英検の変更点の速報が発表になりました。
今回は、そちらの情報について、お届けします。
目次
背景
そもそもなぜ、英検がこのような変更をする判断に至ったのかからお話しましょう。
英検協会の発表では、下記の理由により変更になると発表されています。
・英検はこれまで、その時々の学習指導要領に表わされる英語能力観を踏まえた出題を目指してきた。
・現行学習指導要領の「外国語」では、複数の技能(領域)を統合した言語活動の充実を図ることが目指されている。また、知識や技能の習得だけでなく、コミュニケーションを行う目的や場面、状況等に応じた言語の運用を考える中で思考力、判断力、表現力等の育成も求められている。
・これらを踏まえ、できるだけ早いタイミングで、新たな英語能力観を反映した出題形式を取り入れてリニューアルする 必要があると、英検協会として判断した。
![](http://manabi-growth-lab.com/wp-content/uploads/2023/06/icon_square-286x300.png)
学習指導要領で目指している目標に合わせて、英検も変更する。
というわけです。
これには、大学入試で英語を利用できる割合が増えていることも
大きく影響しています。
上記が、大学受験で外部検定試験を利用できる大学の数です。
2022年度入試の424大学は、日本の全大学の55.6%となっています。
そして受験者の中で、
外部検定試験の一つである英検を利用している割合が、
90%となっています(2023年度入試)。
となると、大学受験と英検は切っても切り離せない関係になってくるわけです。
そのため、学習指導要領の目標に合わせるという訳なのです。
それでは、、、
学習指導要領が目指している、英語の能力とは何なのでしょうか?
それは、
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話者自ら発信できる能力です。
ReadingやListeningは、英文を理解する能力です。
SpeakingやWritingは、英語を相手に伝える能力です。
つまりSpeakingやWritingは、
どんな言葉を使うのかを状況に応じて判断しなければなりません。
その能力が現行の学習指導要領で求められているわけです。
しかし、現状の英検ではReadingやListeningが20問以上出題されていることに対し、
Writingは1問しかありません。
そのため、Writingの比重を増やすという判断に至ったわけです。
実際に、内容変更の対象級はWritingが出題されている1級~3級となっています。
変更時期について
変更時期は、2024年度の第1回からの予定となっています。
つまり、現行の英検でなんとか3級以上を獲得したい方に関しては、
2023年度の第3回、つまり2024年1月の試験が最後のチャンスとなります。
来年を目処に英検を取得しようと考えている方や、
次の級にチャレンジしようと考えている方は注意が必要になります。
変更点一覧
ここからは、変更点についてお話しましょう。
主な変更点は2つです。
出題内容と試験時間になります。
変更点① 出題内容について
出題内容の変更点について下記の表にまとめています。
ちなみに、Listeningの変更はありません。
Reading | Writing | Speaking | |
1級 |
語彙や長文を |
英作文を |
- |
準1級 | 話題導入文を追加 | ||
2級 | - | ||
準2級 | 英作文を 1題から2題に増加 Eメール問題を追加 |
- | |
3級 | - | - |
見てお分かり頂ける通り、Writingの出題数が1題→2題に増えています。
Writingは、英検全体の中でも比較的対策がしやすい問題でしたが、
要約問題なども増え、今まで以上に十分な対策が必要になりそうです。
出題数増に合わせ、試験時間の調整のため、
Readingの出題数が一部削減となります。
3級は試験時間が15分拡大となるため、問題数の削減はありません。
各級の詳しい変更点に関しては、後ほどご紹介します。
変更点② 試験時間について
試験時間の変更は、下記の通りです。
現行の試験時間 | 2024年度 第1回以降(予定) | |
準2級 | 75分 | 80分 |
3級 | 50分 | 65分 |
2つの級にて、時間枠拡大となるのですが、
これはWritingが追加されることによるものでしょう。
各級の変更点詳細
ここからは、英検協会から発表されている
各級の変更点の詳細についてお伝えしていきます。
皆さんが必要とされている級に絞って、確認してください。
1級の変更点について
1級の出題例は下記の通りです。
上記のような英語の記事を90~110語で要約する問題です。
翻訳するだけでなく、内容を正確に読み取り、
上手く要点を絞ってまとめることが必要です。
英語の能力だけに限らず、
日頃から様々な情報に触れ、何がポイントとなるのかを考え、
要約する練習を繰り返すことが必要になります。
準1級の変更点について
準1級の出題例は下記の通りです。
1級に比べ、記事の量と要約する語数が少なくなっており、
60~70語の要約となっています。
しかし、1級と変わらず、翻訳するだけでなく、内容を正確に読み取り、
上手く要点を絞ってまとめることが必要です。
こちらも英語の能力だけに限らず、
日頃から様々な情報に触れ、何がポイントとなるのかを考え、
要約する練習を繰り返すことが必要になります。
また、Speakingの試験では4番目の質問内容が下記のような形に変わります。
難しい質問ではありますが、
冷静に質問に合う答えを答えるようにしましょう。
話す内容が素晴らしいものであることが望ましいですが、
あくまで英語の試験ではあるので、意識し過ぎることは禁物です。
2級の変更点について
2級の出題例は下記の通りです。
こちらも1級・準1級に比べ、記事の量と要約する語数が少なくなっており、
45~55語の要約となっています。
記事の内容も比較的、高校生・大学生が考える機会のある問題になっています。
身近であると自分の考えを入れてしまいそうになりますが、
あくまで要約なので、記事の単語・文章を使ってまとめるようにしましょう。
準2級の変更点について
準2級の出題例は下記の通りです。
40~50語の語数でメールの返信を書かなければなりません。
また、メール文の中に
「a robot pet」の特徴に関して、具体的な質問を2つ入れる必要があります。
日常でもなかなか質問が出てこないこともあると思うので、
質問集のような、質問の切り口を自分の中で増やす練習を
事前にしておく必要があります。
3級の変更点について
3級の出題例は下記の通りです。
3級は質問されている2つのことを答える問題です。
語数は15~25語となります。
質問内容を正確に判断し、簡潔に答えることを心がけてください。
まとめ
いかがでしたか?
どれらの級を見ても、今まで以上の対策が必要です。
またその対策は、英語の能力を向上させるだけの話ではありません。
要約力や質問力といったものを鍛える必要があります。
また、問題を作る側からすれば、
今まで以上に答え合わせも含めて手間ひまがかかるので、
今後英検の受検料金が値上げになる可能性もあります。
受検するのであれば、これまで以上に確実に合格しておきたいですね。